読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

キラーチューンにひと耳惚れ。戦時中の標語に対するアンチテーゼだけじゃない。

音楽の紹介

スポンサーリンク

贅沢は味方です

もっと欲しがりましょう。

負けたとしても。

勝ったとしても。

貧しさこそが敵です

勝 ち 負 け 関係ある?

そうなんです。

キラーチューンの歌詞は、戦時中の標語である『贅沢は敵だ。欲しがりません。勝つまでは。』に対するアンチテーゼを冒頭に歌って始まります。


東京事変 - キラーチューン

僕はこの曲が好きです。表向きは、戦時中の標語をもじった歌詞から始まる「戦時中の女性の心理」を歌い描いた曲に聞こえます。

それと同時に「男を誘う、したたかな女」や「お金だけがあっても、女は幸せに暮らせない」という現代にも通じる乙女心をも、軽やかに歌っています。

「私は、いつも女性のために歌を描いています。いつだって女性のための応援歌になるように音楽を創っています。」

何かの雑誌のインタビューで椎名林檎さんは、このように語っています。ごめんなさい。僕は男ですが、まんまと椎名林檎さんのファンになってしまいました。

キラーチューンですから。

キラーチューンの意味

キラーチューン東京事変
[ Title : キラーチューン 2017年2月 ]
[ Film : Kodak GOLD 200]
[ Camera : Nikon F2 ]
[ Lens : Nikon AI NIKKOR 35mm F2S ]

さて、あんまりにも歌詞を引用しちゃうと日本音楽著作権協会にキラーサーチされてしまうので、ほどほどにいきましょう。たまには好きなことを書きたいのであります。ここは、わしのブログでございます。

そもそもキラーチューンとは、たった1回聞いただけにもかかわらず、耳から離れることなく記憶に残ってしまったり、好きになってしまったりする音楽のことを表します。

東京事変のキラーチューンは、僕にとってまさにキラーチューンとなりました。ひと目惚れならぬひと耳惚れです。キラーとは、ヤラレ(殺られ)てしまうのキラーです。

歌詞の中からも、キラーチューンの要素は聞こえてきます。『ご覧ください、ほらね、わざと逢えたんだ。』って、そんなにダイレクトに、偽物のひとめ惚れをアピールしなくてもいいじゃないですか。

わざと逢えた」という不思議な日本語を選んだ意味が気になって、知りたくなるでしょう。

キラーチューンの表の解釈

贅沢は味方です。これは『贅沢は敵だ』に対するアンチテーゼとなっています。結局は欲しくなってしまうんです。負けたとしても勝ったとしても。

「貧しさこそが敵だ」と結んでいます。そしてさらに、『贅沢をするにしても、財布だけじゃ足りません。』と続きます。

どんなにお金があったとしても、どんなに巨額の富を築いたとしても、精神的に贅沢ができるとは限りません。「お金があるからといって、幸せになれるわけじゃないのよ」って、そんな風に聞こえます。

洗脳(わな)にご注意ください

洗脳と書いて「わな」と歌います。こういった1つ1つの歌詞からにじみ出る言葉選びの意外性に、僕は惹かれるんです。『贅沢は敵だ。欲しがりません。勝つまでは。』「そんな洗脳クソくらえ」って、とても上品な言葉で伝わってきます

この感度は揺るぎません。

すごい。

キラーチューンはザラにない

キラーチューン東京事変
[ Title : キラーチューン 2017年2月 ]
[ Film : Kodak GOLD 200]
[ Camera : Nikon F2 ]
[ Lens : Nikon AI NIKKOR 35mm F2S ]

「麗しいのはザラにありません」のザラって、粗目砂糖「ざらめさとう」のザラが語源なんですって?嘘か真か分かりませんが、あまり一般的ではないという意味で「ザラにない」と使っています。

そして、「麗しい」と、1番では歌っています。2番では「麗しい」から「美しい」に変わるんです。麗しいとは心が温まるような道徳的な「美しさ」を表し、美しいは、単純なる見た目の下品な「うつくしさ」を表しています。

ようするに、「麗しい」と表現されるような、美しいだけじゃなくて、道徳的な美も含まれる、「贅沢で麗しい恋」っていうものは、「ザラではない」すなわち一般的にはあり得ないって、主張しています。

そこからの、「ご覧ください。「わざと」逢えたんです。」「女の季節(旬)なんか使い捨てにして、生きていきましょう」という、うたい文句に、普通の男性ならば心打たれてヤラレてしまいます。

まさにキラーチューン?

偶然をよそおって近づいてわざと逢うわけです。女心って「ずるい」と感じたり「せこい」と思われてしまういやらしい部分があるじゃないですか。

そういうものも、全部ひっくるめて、「あなたは私の一生モノさ」って、歌っているんです。あなたが主体となって、私は従っているように見せかけて、実はわざとなんです。

あなたが主体となって、私を選んだように思っているけれど、実は全部、私の作戦通り。わざとですから

この歌すごくない?

2番になると、「探し出してくれて有り難うございます」って「わざと」に対してしっかりとネタバレをして、あなたに対して感謝の気持ちを伝えています。

い い お ん な

男はこういう女に弱いんです。だってさ、自ら誘うように、あなたという男をひっかけて、最後には、「私はね、あなたの一生モノなんです」って、そんなことを言ってくれる女は、ザラにはいませんよ。

キラーチューンは女の応援歌

キラーチューン東京事変
[ Title : キラーチューン 2017年2月 ]
[ Film : Kodak GOLD 200]
[ Camera : Nikon F2 ]
[ Lens : Nikon AI NIKKOR 35mm F2S ]

贅沢の「贅」という漢字の上半分は敖(ごう)という漢字です。敖とは「あそぶ」や「おごる」などの無駄な様子を表す文字であって、「贅沢」とは、ある意味において無駄であることを、漢字の成り立ちが表しています。

「人生において今日という日は一度切りです」であるがゆえに「無駄という贅沢がなければ意味がありません。絶対にね。」無駄なコトなんかありません。無駄なコトこそ、贅沢の始まりなんだって、教えてくれています。

「麗しさ」は道徳的に作るものだけど、「美しさ」というものは、絶え間なくあふれだすものです。であるがゆえに、量として計ることはできません。

男と女の間に語られる美しさは、いつまでも「美しいもの」であって、それらが「麗しいもの」に変わることはないんです。

「麗しくない」がゆえに、周りの目線や視線を、妬(ねた)みとして感じてしまうこともあります。ちょっとくらい、かぐわしい香りがしていたからって、「睨まないでくださいね」って、しっかりと説明しています。

かぐわしいとは、こうばしい、良い香りのことです。「芳(かぐわ)しい」と書いて、芳(こう)ばしいから「芳(かぐわ)しい」と、歌詞の中では読ませています。

恋って燃えるものですから

お あ つ い ね

これぞまさに、女性に対する応援歌ではありませんか。周りのことを気にするのはほどほどにして、命短し恋せよ乙女と歌っているのであります。

さすが椎名林檎さん。「女性のために、女性目線で音楽を作っています」と、はっきりと断言するだけあります。

男なんか、「手のひらの上で上手に転がしなさい」って、男の僕には、そんな風に聞こえてくるのだけれども、そうやって思ってくれる男と、すなわち、「その気持ちを認めてくれる男と一緒になりなさい」って、キラーチューンはそんな歌なのです。

ね?

僕は男です。

キラーチューンにキラーチューンされたでしょ。

「あなたはね、私にとっての一生モノ」って、言っておきながら、心の中では「私はね、あなたの一生モノだから」って、思っている女だと、相手の男に思わせるような、怖いくらいに世渡り上手な女になりなさいって、そんな歌なんです。

この歌すごいでしょ。

PVは土砂降りの、お天気雨の中で、椎名林檎さんと東京事変の愉快な仲間たちが歌い踊ります。土砂降りのお天気雨の中でね。

お天気なんです。晴れているんです。だけど、雨が降っているんです。最初にすれ違うスーツ姿の男女が、最後にもう一度登場して踊っています。

土砂降りのお天気雨。

この曲、いろんな意味で矛盾だらけ

それがまたキラーチューン。

娯楽と書いてバラエティと読ませます。