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み み

鎌倉江ノ島の観光を写真多めで発信中!

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ブログで蘇る青春の思い出


実は私、大学生の時もブログを書いていました。半年くらいでやめてしまいましたが。その内容は非常にポエミーですが、今よりも感性にあふれる文章を感じることができます。

須賀の漁港
[ Located in : 西に向かう 2017年1月 ]
[ Camera : PENTAX K-5ii ]
[ Lens : PENTAX smc PENTAX-DA 18-55mmF3.5-5.6AL WR ]

蘇る思い出

久しぶりに読み返してみると、どうしてこんな文章が書けたのか、当時の僕に頭が上がらない部分もあります。ちょっと感動しました。半年という期間でしたが、きちんと記録していた自分に拍手を送りたいです。

会社員生活は僕に何を与えてくれて、僕から何を奪ったのでしょうか。

原文で掲載いたします。


西に向かう列車に揺られて

季節は冬至を回り、空の色が変わってきました。今夜はさらに季節がすすんだ春先のお話。ちょっと長すぎたけれど。

海沿いを西に向う電車に揺られていた。あの頃は、無限に思われていた砂の数も、今となっては数える程しか残っていない。

ようやく長くなってきた太陽はずっと昔に沈み、帰宅ラッシュが終わった車内は静かで、瀬戸内海に浮かぶ月の音が聞こえてきそうだった。これは、そんな頃のお話。

少し先にお好み焼きで有名な街があった。キャベツとソバと卵のあわさった焼き物が無性に食べたかった。今日のうちに、できるだけ距離を稼ぎたかったけれど、宿が決まってない不安と、明日の電車の時間から、この地方で最も大きいと思われるこの街で電車を降りる事に決めた。

いつでも決断を急いでしまう、流れに身を任せているようで実は違う事に気が付いた。

電車からは、9人の乗客が疲れた足をだるそうに持ち上げながら、誰もいないホームに降りた。男が6人、女が3人。その中に1人、大きなカゴを抱えた女性がいた。全員が改札に続く階段に消えるのを見送りながら、1人ホームで煙草を吸った。

駅に停車する列車より、駅を通過する夜行と貨物列車が多くなる時間だった。先程まで1人遠くに来てしまった不安にさいなまれていたが、3本目の煙草が灰に変わる頃、そんなことは忘れていた。まるで便所に忘れられたビニール傘のように。泊まる所を探そう。見つからなかったら、それはそれだと思った。

駅から20分歩いた所で、一泊3000円の宿をみつけた。お金は天下の回りもの。普段、朝日が昇るくらい当たり前の事、屋根がある寝床があって、温かい風呂に入れる事は、実は当たり前じゃないんじゃないかと思った。これは、今もそう思う。

荷物を置いてお好み焼きを探すことにした。新幹線の高架下、新幹線が動くうちは新幹線が通る度に、食器が食器棚から全部ひっくりかえるんじゃないかと、心配になるくらい簡素で汚いお店が目に付いた。

店の中は狭いカウンターに鉄板が埋め込まれていて、各々が好きなように焼き物を焼いている。 無愛想な店主と思われる白髪のおじさんは、お勧めを教えるわけでも無く頼み方を教えるわけでも無く、テレビと会話していた。

太い麺とミックスと豚か鳥かキャベツか何か思い出せないが、注文が終わって一言、あんた東京から来たのか、と言われた。ようやく落ち着いて店内を見渡すと、さっき同じ電車から降りたカゴの女性も席についていた。きれいな人だった。この店には似合わない。

特別だ、と言って店主のおじさんはお好み焼きを焼いてくれた。麺が入っている事が、関東で見慣れたものとの違い。数分して目の前にとても1人で食べきれる量とは程遠い。真ん丸のお好み焼きが焼きあげられた。

この量はサービスなのか普通なのか分かりかねる。でも実はきっと、あのおじさんは良い人だったんだろう。

味は、まずい。とても食べられた物ではなかった。今、もう一度思い出しても、ひどいものだったと思う。ノラネコの餌にした方が良かったくらいに。ひときれ食べて敗北を感じた。それでも残して帰れる雰囲気ではなかった為、時間をかけて格闘した。

30分かけて残りふたきれにした時点で、負けを認めた。残りをパックにつめてもらい、明日の朝飯に。

最近、体調が悪くて食欲がなかったことを、忘れさせるような量と味だったとメモに書いてある。 でもなぜか、もう一度食べに行きたい。不思議だ。あの店はまだあるのだろうか。きっとないだろう。

翌朝、起きると雨が降っていた。煙草に火をつけて昨日の残りを食べるも、全て吐きそうになる。 傘があるはずも無く、冷たい雨に濡れながら頭にタオルを載せて駅まで歩く。途中で残りのお好み焼きを捨てて、傘を拾うあたり、相変わらず変わらない私だと思う。

誰もいない早朝のホームで関門海峡を渡る普通列車を待っていた。聞き慣れない鳥の声。ふりかえると、同じく髪を雨で濡らした昨日の女性がカゴを持って、寒さで震えながら絵に書いたようなぎこちない笑顔でこちらを見ていた。

「おはよう、早いんですね。」と彼女。よく見ると同い年かいくつか年上だろうかと感じさせる顔をしていた。しばらく黙る。「あの、もしよかったら煙草を頂けませんか、雨で濡れちゃって」と言われたところで我に帰った。電車が来るまで2人で黙って静かに煙草を吸った。そんな1日の始まり。

また一粒、砂が落ちていった。1日が終わってまた始まる瞬間に、いろいろなことが起きる。この瞬間に私は、多大なる魅力を感じる。

彼女は、確か、記憶が正しければ、あやさんという名前。短大を卒業して離れていた地元に帰り小学校の先生になると言っていたのは、たぶん彼女だった気がする。

カゴをかかえたあやさんと同じ電車に乗って多くの話をした。お互いの大学の話、好きなもの嫌いなものの話、昨日のお好み焼きの話、どうして先生になろうと思ったのかの話、曰く付き物件に住むアルバイトの話、などなど。

気が合うのか、タイミングが似ているのか心地よい時間だったのか、記憶が美化されたのか分からない。相性が良いと思うのはどちらかが楽をしている証拠。その反対には大きな負担がかかっている場合が多い。

大きなカゴの中は、2羽のオウムだかインコだか、名前が覚えられないくらい長い大きな鳥だった。青と黄緑と黄色と白とたくさんの色が混ざったきれいな鳥でやっぱり名前は思い出せない。友人に半ば強引に押しつけられるようにもらって、こんなに大きくなるとは、知らなかったそうだ。

その後3日、あやさんの旅のお供をする事になるのだが、その話はまた今度。あの時、かごの中の鳥はどうしたのだろう。

体験談の強さ

実はこのお話。凡(おおよ)そ体験談です。読み返すと、今では使いたくない言葉が使われている部分がありました。もっと上手に書ける部分も見つかるかもしれません。これを基にリメイクしてみようと思います。

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